給食費の未納問題について
少し前のことになりますが、平成27年に埼玉県の北本市にある公立中学校が給食費の未納が3か月続いたら、給食の提供を中止するというニュースが話題になりました。
この給食費の未納問題は非常に難しい問題ですが、対応の仕方をもう少しなんとかできないかと個人的には思います。
まず、大前提として支払い能力があるならば給食費は支払うべきものです。
支払い能力がない場合は、就学援助制度などあるのでお住まいの役所に尋ねてみましょう。
給食費を支払わない親の言い分としてよくあげられるのが、「義務教育なんだから給食も無料にしろ」、「食べたくないものを無理矢理食べさせられているのだからお金を払う必要はない」などがあります。
しかし、支払われない給食費はどこが負担するのかを考えてみてください。
お住まいの市区町村が負担することになります。
当然、回収しようとはしますが踏み倒す人がいれば未回収となり、みなさんが支払っている税金から補てんするしかないのです。
また、回収するのに弁護士に依頼したり、裁判所に申し立てをする場合は費用が発生します。
では、その支払いはどこからするのでしょうか。
やはり税金から支払うしかないですよね。
さて、現在給食費を踏み倒している方は、他の家庭が同じことをしてその補てんをご自分が納めている税金でされていると知ったら、自分もやっていたから仕方ないなと納得されるのでしょうか。
おそらくは納得しないでしょうね。
そもそも給食費というものは通常では考えられないくらい安いのです。
自治体によりますが、小学校なら1食250円程度、中学校なら300円以内の自治体がほとんどだと思います。
コンビニならおにぎり2つ程度しか購入できませんね。
その値段で、栄養バランスを考え、できる限り国産のもの地元のものを使い、なおかつ600~1000kcalという育ち盛りの子供に十分なエネルギーを摂取できるように考えられています。
なぜそのようなことが可能かといいますと、材料を一括購入することや規格外品を使うなどいろいろありますが、一番大きいのは人件費や光熱水費などは自治体が負担しているためです。
つまり給食費というのは、ほぼ材料代のみの金額なのです。
そしてある意味一番の魅力は、毎日お弁当を用意する手間が省けます。
1食300円程度でその手間がなくなるなら、個人的にはありがたいくらいだと思います。
ただし、北本市の対応を知ったときに一番残念だったのは、学校に通っている子供のことを見ていないことです。
昨日まで給食を食べていた子供が、今日はお弁当を持ってきている。
友達はどう思うでしょう。
親が給食費を踏み倒していると知った子供はどうでしょうか。
子供たちの人間関係に多少なりとも影響を与える可能性があります。
給食費を支払うべきという考えは変わりませんが、親の不始末を子供たちに背負わせるのが行政のやり方なのでしょうか。
それよりも踏み倒しができないような制度づくりをするべきではないでしょうか。
例えば、児童手当からの徴収です。
現在は受給者が承諾書を提出することで徴収できるようになっている自治体も多くなってきましたが、承諾書なしでも未納家庭から徴収できるようにできれば事実上踏み倒しは不可能になります。
いっそ児童手当の支給額を減らし、それを財源として給食の無償化を実現するのも一つの手かもしれませんが、私立もあるので難しいのでしょう。
最後に知っておいてほしいのが、就学援助を受けられないけど支払い能力がない家庭が少なからず存在することです。
どのような場合かといえば、配偶者の使い込みやDV被害などです。
世帯収入的には問題ないため就学援助の対象にならないことが多いですが、支払い能力があるかと問われると難しい家庭もあります。
仮に北本市と同様の対応をする場合は、そのような状況に陥っていないかなども見極める必要が出てくるでしょう。